日本産ヤマブユ属 Genus Gnus (Diptera, Simuliidae) 1 新種の記載
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概要
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著者は1977年6月下旬, 北海道渡島半島の調査において檜山郡厚沢部町, 爾志郡熊石町および山越郡長万部町の諸河川で多数のブユの老熟幼虫と蛹を採集した。これらを飼育して成虫を羽化させた結果, Gnus属に属する新種であると認めたので, ここにGnus fulvipesオシマヤマブユ(新称)として記載する。本種はGnus属malyshevi群の4種(ソ連のmalyshevi, lucidum, 日本・ソ連のalbipes, 日本のdaisense)に類似している。しかし, 本種はこれらとは雌雄の交尾器, 脚, 蛹, 繭, 幼虫の額板の斑紋などの形質の差により容易に区別できる。とくに本種の雄の交尾器の腹面板は幅広いスペート型であり, 陰葉には暗化した長い鉤状棘と白色の短かい鉤状棘のほかに明瞭な橙色の長い2本の棘状突起があること, 生殖尾突起は顕著に幅広くその先端が尖っていること, 蛹の呼吸糸は16本の呼吸糸を有し基部は縦に細長く, 前方2対の呼吸糸のみ無柄できわめて太く膨隆していることなどは他の類似種には見られない本種の特徴である。本種の繭は花かご型であって, 他の類似種のそれらよりも先端部がより緻密に編まれている。本種の老熟幼虫と蛹は6月下旬北海道渡島半島の川底が石礫質のかなり急流の諸河川の小枝や枯葉などに多数密着していることが観察された。雌成虫の吸血性は不明である。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1978-12-15
著者
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