4心皮性の子房をもつツリフネソウ属の植物について
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概要
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前報(1982, 1984)に引き続き,タイおよびマレーシア産のツリフネソウImpatiens属植物のうち,翼弁が合着する10種I. bunnackii, I. calcicola, I. cardiophylla, I. mirabilis, I. nalampoonii, I. opinata, I. parishii, I. peltata, I. ridleyi, I. saraburiensisについて新たに子房の構造を調べた.これらは,予想通りすべて子房は4室4心皮性であったが,前報同様に,胚珠が(1〜)2列性で列当たりの胚珠の数が多く,胚珠の形が成熟の過程で変化しない群(第I群)と胚珠が1列性で数が0〜2個,胚珠は成熟の過程で形が変化する群(第II群)に2分できることがわかった(表1).前者のうち,I.cardiophyllaやI. peltataなど同一子房内に1列および2列性の胚珠の着生例を混在する種類では,1列につく胚珠数の多い場合,部分的に2列性となることが観察された.一方,芽生えの形をみると,上記の第I群では上胚軸の節間は伸長し,本葉はすべて互生するのに対し,第II群は上胚軸がのびず,本葉は胚軸上に密集し,子房の構造と芽生えの形の間に強い相関があることが認められた(ただし,I. psittacinaは例外).この点,ジャワのマドラ島から報告されたSemeiocardium alliesiiは,翼弁の形・子房室数,芽生えの形など分類上の重要な形質は第II群の植物と完全に一致する.この種については,BACKER(1935, 1963)は,翼弁は合着し子房は4室であることを記述しているし,K, BO, GHなどに収蔵されている標本やBACKER(1935)発表の写真から実生の形は第I群のものであることが判定できるからである.したがって,4室性の子房室を持つツリフネソウ属植物は,Semeiocardiumとの関連を吟味する必要がある.本研究は,昭和58,59年度文部省科学研究費(総合研究)No.58340039によっておこなわれた.記して,感謝したい.
- 日本植物分類学会の論文
- 1985-11-30
著者
-
清水 建美
Biological Institute & Herbarium (SHIN), Shinshu University
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清水 建美
信州大学教養部生物学教室
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清水 建美
Shimizu Botanical Laboratory
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