エトポシド(VP-16)注射液の持続注入時に発生したポリウレタン製カテーテル亀裂の要因に関する検討(2) : カテーテルからのエタノール溶出物の分析

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概要

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• 抗腫瘍薬であるエトポシド(VP-16)の注射薬は,VP-16が水に難溶であるため,注射薬の基剤としてポリエチレングリコール400(PEG400)が使用され,さらに溶解補助剤としてエタノールを高濃度(約30%)に含む液体である.医薬品添付文書中の用法の項には,VP-16の結晶析出を回避するために,輸液で50倍以上に希釈して点滴静注すると記載されているが,難治性の白血病患者における造血幹細胞移植前処置としての超大量化学療法(300-2400mg/m^2)には,医薬品添付文書の用法では水分過多になることや50倍以下の希釈率では結晶析出などの問題が生じることから,原液で使用する場合がある.東京大学医学部附属病院では,組織適合性に優れたポリウレタン(PU)製ダブルルーメンカテーテルを中心静脈に挿入し,その一方のルートから原液の持続注入を行っていた.ところが投与中にカテーテルの亀裂による薬液の漏出を経験し,その原因を解明するために,VP-16注射液からエトポシドを除いた液を流してカテーテルの内表面と素材の断面を電子顕微鏡で観察した結果,明らかな変性が認められた.さらにカテーテルにVP-16注射液及び各添加剤を送液した後の弾性強度と長さを測定した結果,VP-16注射液とエタノールにおいて弾性強度の顕著な低下と長さの有意な伸長を認め,PU製カテーテルの亀裂の原因にはエタノールが関与している可能性を示した.その後,我々の症例と送液実験の結果を受け,平成11年6月,VP-16注射液の医薬品添付文書の「使用上の注意」に「-高濃度でのポリウレタン製のカテーテルの使用を避けること」の記載が追加された.しかし,PU製カテーテルにエタノールを送液した場合の強度の低下と長さの伸長の機構についての検討は未だなされていない.そこで本研究では,PU製カテーテルにVP-16注射液の成分のエタノール及びPEG400のそれぞれを送液した後のカテーテルの内表面を電子顕微鏡で観察を行うとともに,エタノールを送液した時の溶出物を質量分析装置により同定及び定量を行った.

• 社団法人日本薬学会の論文
• 2003-09-01

著者

• 平井 久丸

  東京大学血液腫瘍内科

• 佐藤 均

  東京大学医学部附属病院薬剤部

• 山田 安彦

  東京大学医学部付属病院薬剤部

• 伊賀 立二

  東京大学医学部付属病院薬剤部

• 伊賀 立二

  国際医療福祉大学薬学部薬学科

• 山田 安彦

  東大 医 病院

• 山田 安彦

  九州大学 薬

• 千葉 滋

  東京大学医学部附属病院 無菌治療部

• 中島 克佳

  東京大学医学部附属病院薬剤部

• 横山 晴子

  東京薬科大学薬学部

• 青山 隆夫

  東京大学医学部附属病院薬剤部

• 青山 隆夫

  東京理科大学薬学部

• 伊賀 立二

  東京大学医学部

• 中島 克佳

  東京大学医学部附属病院 事務部医療サービス課

• 千葉 滋

  昭和大学薬学部

• 横山 晴子

  東京大学医学部附属病院薬剤部

• 横山 晴子

  東京薬科大学薬学部臨床医薬品評価学教室

• 伊賀 立二

  東京大学医学部附属病院 薬剤部

• 平井 久丸

  昭和大学薬学部

• 横山 晴子

  東京大学医学部附属病院 薬剤部

• 千葉 滋

  東京大学医学部附属病院無菌治療部

• 佐藤 均

  東京大学医学部附属病院無菌治療部

• 中島 克佳

  東京大学医学部附属病院

• 横山 晴子

  東京薬科大学薬学部薬物動態学

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