クサガメ(Geoclemys reevesii)における分散訓練と道具的遂行との関連
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概要
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This research is relevant to the comparative of the so-called paradoxical effects of reward,a family of phenomena that has not yet been observed in a variety of experiments with fish,amphibians,and turtles trained under widely spaced conditions.The runway performancd of turtles(Geoclemys reevesii)was studied in a design that allowed an observation of the effects of schedule and magnitude of reinforcement on acquisition and extinction under widely spaced training conditions(one trial per day).Partial reinforcement retarded acquistion but there was no evidence of the partial reinforcement extinction effect commonly observed in rats and pigeons trained under analogous conditions.A shift from a relatively large reward magnitude(5 pellets)to either extinction or to a small magnitude(1 pellet)gave no evidence of either the magnitude of reinforcement extinction effect or the successive negative contrast effect.However,the two magnitudes used in the present experiment failed to produce differential performance before the shift.The importance of a more precise knowledge of the effect of different reward magnitudes on the instrumental performance of turtles was stressed as a prerequisite for further studies.本研究は報酬に関するいわゆる逆説的効果を比較心理学的に分析したものである。この逆説的効果は1日1試行のような分散条件で訓練した場合には,サカナ,両棲類及びカメでは見いだされていない。そこで1日1試行条件で,強化スケジュールと強化量が習得と消去に与える影響を同時に分析する実験計画を用い,クサガメの走路走行反応を分析検討した。その結果,部分強化は習得を遅らせたが,類似の事態でラットやハトが共通に示すような部分強化消去効果は得られなかった。また,訓練時(連続強化)の報酬量(大-5ペレットあるいは小-1ペレット)は消去の遂行に差をもたらさなかったし,訓練時に大報酬から小報酬へと移行させても,一貫して小報酬の場合への統制群の遂行と比べて差がなかった。結局,強化量消去効果も負の対比効果も得られなかった。本実験では訓練時の報酬の移行が遂行の差として表われなかったことから,今後はカメの道具的遂行に対する報酬量の正確な効果を把握した上で,さらに類似の研究を進める必要がある。
- 大阪教育大学の論文
著者
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石田 雅人
大阪教育大学教員養成課程学校教育講座
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石田 雅人
Department of Psychology,Osaka Kyoiku University
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Mauricio R.
Department of Psychology,Texas Christian University
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Mauricio R.
Department Of Psychology Texas Christian University
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