動物における系列パタン学習の機構 : 1980年代を中心とする文献展望
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概要
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ラットを用いた系列パタン学習の最近の研究動向を文献評論し,この学習に関する代表的な説明仮説を比較検討した。Hulseは,動物も人間と同様に,系列パタンを学習する場合に系列の法則を符号化し,これを表象として利用すると仮定した(法則符号化仮説)。一方CapaldiはS-R結合を単位とする連鎖化によりこれを説明した(連合・般化仮説)。両仮説の主張の相違は,用いられた実験変数(系列の長さ,項目の種類)の特徴的な偏りに一部起因することがわかった。理論的に見れば,連合・般化仮説は予測性と緻密さにおいて長じている。しかし法則符号化仮説は,科学的な認知心理学の研究を刺激したこと,及び他の学習への適用範囲が広いことから今日的意義は大きい。Recent studies using rets were reviewed with regard to the serial pattern learning,and two major hypotheses explaining this fact were examined from the theoretical and practical point of view.Hulse assumed that rets,like humans,encode the rule structure of the pattern and utilize its representation in liarning a sequential pattern of stimuli(rule encoding hypothesis).Capaldi,however,explained the serial pattern learning in terms of the chaining of S-R units based on the animal conditioning principles(associationgeneralization hypothesis).The difference between two hypotheses can be attributed partly to the experimental variables used in each position,such as length of sequence and number of different items which consist of sequence.Theoretically,Capaldi's hypothesis is better than Hulse's one in its predictability and elaborateness.However,Hulse's position can be jistified in its theoretical broadness and,practically,from the fact that it instigated a scientific study of cognitive learning psychology.
- 大阪教育大学の論文
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