ツマグロヨコバイの卵塊卵粒数の変異
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概要
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ツマグロヨコバイの卵塊卵粒数の変異を年別, 地域別, 世代別に調査し, 温度, 日長, 寄主植物の状態, ツマグロヨコバイの生息密度などとの関連を調べた。またこれらの要因が卵塊卵粒数にどのような影響を与えるかを実験的に解析した。1. 世代と稲の作付は同じであるが年を異にするツマグロヨコバイの卵塊卵粒数にはっきりした傾向はみられなかった(第1表)。2. 南国と伊野の両地域間の卵塊卵粒数には差がないと考えられた(第1図)。3. ツマグロヨコバイの世代別にみた卵塊卵粒数は第1世代から第2世代さらに第3世代へと大きくなったが, 第3世代から第4, 5世代にかけてはかならずしも大きくならなかった(第1表)。4. 稲の発育状態と卵塊卵粒数との間には発育の進んだ稲で成育した成虫の産む卵塊卵粒数が大きくなる傾向が野外および室内実験の結果に共通してみられた。5. 野外での平均気温と卵塊卵粒数との間には明瞭な関係はみられなかった(第2表)。これは野外での平均気温の年による変異が少なかったことによると考えられた。一方室内実験からは20℃で最小, 25℃で最大となった(第5表)。6. 日長と卵塊卵粒数との間には長日条件で大きくなる傾向が野外および室内実験の結果に共通してみられた。7. 低密度条件下で成育したツマグロヨコバイの産む卵塊卵粒数は高密度条件下で成育したものより多いことが実験結果から示された(第8表)。一方野外でみられた密度と卵塊卵粒数との間にはこの関係で期待される結果ではなかったが(第3表), 野外では他のいくつかの要因が同時に働いていることから, 密度と卵塊卵粒数との間には実験により得られた関係があると考えられた。
- 1971-05-30
著者
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