1997年夏季,北太平洋亜寒帯域およびベーリング海におけるマイクロネクトンと大型ゼラチン質動物プランクトンの生物量,豊度とその鉛直分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
マイクロネクトンは,カイアシ類などの中・大型動物プランクトンを摂食し,鳥類,魚類などの大型捕食者により被食される海洋食物網の重要な構成員であるが,北太平洋亜寒帯域やベーリング海においてそれらの量,組成,鉛直分布について調べた研究は限られている。本研究は,北太平洋亜寒帯域3測点とベーリング海1測点において大型の多層採集トロールRMT-8を用いてマイクロネクトンを層別採集し,それらの生物量,豊度および鉛直分布を調べ,その特徴についてまとめたものである。0〜1,000m水柱あたりの生物量は29〜5.1gDW m^<-2>で,変動が大きかった一次消費者(オキアミ類,タリア類)の値を除くと,ベーリング海で最も多く,北太平洋中部,北太平洋西部,アラスカ湾の順に少なかった。高次分類群の生物量組成に海域による違いは見られず,魚類がもっとも多く刺胞動物がこれに続いた。全生物量中ゼラチン質プランクトンは乾重量で平均約31%を占め,調査海域のマイクロネクトンの重要な構成員であることが示唆された。全ての観測点で共通したマイクロネクトンの鉛直分布パターンの特徴は:(1)500〜600mにおいて昼夜共に生物量の極大層が存在すること,(2)中冷水と中層上部に生物量が少ない層が存在すること,(3)夜間に生物量が表層に移動すること,および(4)生物量の変動が大きい表層〜中層間移動者(オキアミ類,タリア類)が存在すること,であった。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
関連論文
- 浮遊性カイアシ類の両極および反赤道分布について(中〜高緯度の両極性分布を持つ生物から見た地球史)
- JARE-39, -40「しらせ」航路に沿った夏季南大洋インド洋区における 表層水中の動物プランクトン現存量
- 海氷域におけるペンギン研究計画 (SIPENS) 実施報告(JARE-37~41次夏隊観測)
- 南極エンダービーランド・アムンゼン湾におけるアデリーペンギンの集団繁殖地の分布と繁殖数(英文)
- 2002年及び2003年夏季,南極海の東経140度線に沿った大型動物プランクトンの分布パターン(英文)
- 1997年夏季,北太平洋亜寒帯域およびベーリング海におけるマイクロネクトンと大型ゼラチン質動物プランクトンの生物量,豊度とその鉛直分布
- P-176 オキアミの死後発光に関与する発光細菌の分離(ポスター発表)
- 外洋深海の連鎖系 (総特集 海洋生命系のダイナミクス) -- (3章 連鎖系のダイナミクス--巨大な海の生命システムはどのようなしくみで動いているのか?)
- 本州沖太平洋から採集された中・深層漂泳性等脚類オナシグソクムシ属(甲殻上綱・等脚目・オナシグソクムシ科)について(短報)
- 深海生態系 (特集・海洋生態系)
- 1993年7月鹿島灘に形成された暖水舌と微小プランクトンの分布
- ゼラチン質動物プランクトン2種, Thalia democratica と Dolioletta geogenbauri (被嚢動物亜門: タリア網)の固定保存液中における収縮
- ビデオ装置を用いたサルパ類の遊泳速度とパルスレイトの測定〔英文〕
- マイクロネクトンによる動物プランクトンの捕食
- ゼラチン質動物プランクトン:その生物学的特性と生態学的重要性 (日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同シンポジウム プランクトン研究とベントス研究のフロンティア)
- 海産ゼラチン質プランクトン,サルパ類をめぐる捕食と被食 (2003年度春季プランクトンシンポジウム 淡水と海洋のプランクトン研究の比較:捕食者-被食者関係に注目して)
- 海産浮遊性カイアシ類の進化--生殖や摂餌にどのような変化が起こったか? (総特集 動物プランクトン) -- (3章 甲殻類プランクトン)
- 海産浮遊性カイアシ類(甲殻類)の食性再考
- 1B-12 浮遊性被嚢動物サルパ類の糞粒細菌叢解析 : Vibrio属細菌の優占と発光(口頭発表)
- 海洋生物のセンサス
- 2009年度日本プランクトン学会春季シンポジウム : Census of Marine Life の成果と展望-海洋生物多様性情報の総合化に向けて
- 沖縄島真栄田岬および瀬底島沿岸におけるヒカリボヤ類の出現
- サルパ類研究のどこが面白いか? (総特集 動物プランクトン) -- (4章 ゼラチン質動物プランクトン)
- 中・深層性動物プランクトンの多様性
- 全海洋動物プランクトンセンサス (Census of Marine Zooplankton : CMarZ) の成果と展望
- 中層プランクトンの多様性
- 親潮域におけるネット動物プランクトンの生物量-鉛直構造と成立要因
- 2010年度日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会報告
- 東京湾におけるミズクラゲ Aurelia aurita の魚探を用いた現存量調査
- 2007年11月に対馬東部海域で観測された低気圧性渦周辺の栄養塩・プランクトン分布
- ゼラチン質動物プランクトン, その生物学的特性と生態学的重要性
- ニュ-ジ-ランド産Jasus属プエルルスの定着〔英文〕
- 海産ゼラチン質プランクトン, サルパ類をめぐる捕食と被食