小さな矩形海における内部静振のエネルギー散逸過程

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内部重力波の反射によるエネルギー散逸を調べるための第一段階として,閉じた系での内部静振の減衰過程を鉛直2次元レベルモデルにより調べた。水平に一様に連続成層した海域を考え,初期状態として鉛直・水平第1モードの内部静振となる流速場を与えた。付属湾か無く海底が平坦な矩形海では,初期に与える流速が小さいときには振動は長時間続くが,初期流速が大きくなり砕波が生じるケースでは急速に減衰した。次に,平坦な矩形海に付属湾をつけた実験を行った。付属湾口で内部静振から鉛直スケールの小さい内部波が発生し,矩形海の内部領域へと分散する過程により,内部静振のエネルギーは急激に減少した。減衰時間の割合は付属湾の水平・鉛直スケールに依存し,付属湾の固有振動が矩形海のものと一致する時に減衰率が大きくなった。これは,共鳴作用を通して内部静振のエネルギーが付属湾の固有振動に効果的に遷移し,鉛直スケールの小さい内部波が発生し易くなるためと考えられる。本研究により,従来あまり考慮されていないエネルギー散逸機構の存在が示された。境界混合過程を考えるうえで,海底摩擦などのほかにここで示されたカスケード過程に伴う内部波エネルギーの散逸機構も考慮する必要がある。
日本海洋学会の論文
2002-03-05

小さな矩形海における内部静振のエネルギー散逸過程

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