部分的水面キャスト法を用いた多チャンネルSAW化学センサ構築の基礎研究

概要

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表面弾性波(SAW)デバイスは、気相における化学センサとして用いることができる。高い周波数特性と多チャンネル構造を持つSAW遅延線を用いれば、高選択性のマルチガスセンサを実現させることができる。しかし、一般的に一つの基板上に設けられた多チャンネルパターンの各々の伝搬路上に異なるガス感応膜を塗布することは難しい。本報告では、いろいろなガス感応膜を任意の伝搬路上に塗布できる新しい分子膜塗布法について述べる。この方法は部分的水面キャスト法と呼ばれるものである。本方法は、台形状の枠を用いて水面を区切り、枠内に展開された膜物質が枠の上下運動によって圧縮し、枠の上端に置かれた基板に膜を付着させる方法である。ST-cut水晶のSAW共振器上にジアルキルポリイオンコンプレックスの2分子膜を数層付着させ、アルコール雰囲気に対するガスセンサ特性の測定に成功した。今回の実験より、複数の分子膜を持つ多チャンネルSAW化学センサの構築に応用できることが確認できた。
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-05-24