同時音声の知覚におけるスペクトル遷移の役割(立体音響・音場制御/聴覚/一般)
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概要
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カクテルパーティー効果として知られる聴覚機能の原理を解明するために、音声に含まれるスペクトル遷移の役割を調べることは重要である。定常母音とCV音節を同時に呈示した知覚実験では、スペクトル遷移は、それが含まれる音声自体の知覚率を向上させるのではなく、同時に呈示された定常母音の知覚率を向上させるという結果が得られている。本稿では、母音から他の母音への音韻変化を対象とし、同時音声の知覚におけるスペクトル遷移の役割について調べる。実験1では、自然音声から作成した/ai/, /ue/などの日本語二連母音刺激を用いて、同時音声の知覚実験を行い、全被験者でスペクトル遷移を含む母音が、定常母音よりも高い精度で知覚されるという結果が得られた。この結果は、合成音声刺激を用いた実験2でも確かめられた。従って、母音から他の母音への音韻変化に伴うスペクトル遷移は、それを含む音声刺激の知覚率を向上させると結論付けられる。この結果はCV音節刺激を用いた先行研究と対立するが、母音間の知覚的支配性を考慮することで、両者を整合的に説明できる可能性がある。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2005-08-11
著者
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