二つの静止衛星を用いた通信・測位複合システム

概要

論文の詳細を見る
昨今の衛星通信の発展と通信需要の多様化に伴い,移動体の位置を情報として利用する要求が高まっていると共に,世界各国で衛星測位システム(RDSS)として,提案および開発が行われている.本論文では,通信総合研究所が,電波システム開発センターと共同で進めてきた二つの静止衛星を用いた通信・測位複合システムの概要およびその基礎実験の結果について述べる.実験用装置としては,変復調方式の異なる2種類のものを開発した.一つは,オフセットQPSKを用いた方式(以後,これをSCPC方式と呼ぶ)で,他の一つは,スペクトル拡散方式(これをSS方式と呼ぶ)を用いたものである.前者は,通信信号に加え狭帯域の測距信号を伝送するため,測位精度は多少落ちるが,現在,実用化されているSCPC方式の衛星通信システムに導入が容易である.後者は,前者に比べ,伝送帯域幅を広くとり高速の測距信号を用いるため高精度の測位を行うことができる利点があるが,反面,装置構成が複雑になる.それぞれの装置について,技術試験衛星5型(ETS-V)とインマルサット衛星を用いたフィールド実験を行い,SCPC方式では低緯度付近で2〜8km,中緯度付近で1〜2kmの測位精度,SS方式では,日本付近で400〜600mの測位精度を得た.
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-09-25

二つの静止衛星を用いた通信・測位複合システム

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク