適応くし形フィルタの縦続接続による採譜のための音高検出

概要

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各音高に対応するサンプリング周波数を使用したくし形フィルタ(H(z)=1-z^<-N>)は,周波数軸上で等間隔に零点を持つため,楽音を構成する基本周波数成分とその倍音成分をすべて除去可能である.筆者らは,音名に対応したくし形フィルタを12段縦続接続し,その零出力を検出することによる音高検出法を提案した.しかし,この方法では,12段縦続接続したくし形フィルタの採譜対象音域の振幅利得より低周波領域の振幅利得が大きく,楽音に雑音などが含まれると零出力検出が困難になった.また,楽音の周波数が公称周波数から変動していると,音高検出が不可能であった.これらの問題を解決するために,本稿では,信号から検出した周期を用いてくし形フィルタの遅延数を制御する(適応くし形フィルタ)ことにより,1音を1つのくし形フィルタで消去する.これにより,くし形フィルタの縦続数の削減,および,周波数変動への対応可能である音高検出法を提案する.そして,電子楽器音(MIDI音源)および歌唱音を用いた計算機シミュレーションにより,本手法の有効性を確認する.
2002-09-18