非線形音響エコーキャンセラの一構成法(音響信号処理及び一般)

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概要

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本稿では,非線形エコーキャンセラの理想的な一構成を提案する.一般的に拡声通話系における音響エコー経路は線形であると仮定されてきた.しかしながら,携帯端末などに付属する低コストなスピーカを用いた拡声通話系においては,スピーカによる非線形成分の影響が非常に大きく,音響エコー経路が非線形となる.そこで,この問題を解決する手法として,非線形逆システムを組み込み,スピーカの特性をADFの前段に設置する構成を提案する.提案する構成は,低演算量での動作が可能であり,高い定常エコー消去量の確保,高速な収束速度を実現することができる.また,従来研究されてきたダブルトーク制御法が適用できるという利点を持っている.この利点から,実環境への適用が可能であり,その効果の大きさが非常に期待できるシステムであるといえる.結果として,通常の音響エコーキャンセラと比較して高速な収束速度を実現し,定常エコー消去量を5〜10[dB]改善することができる.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-05-08

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