折返し形コムラインフィルタの特性解析

概要

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コムラインフィルタは,携帯電話端末用フィルタとして広く用いられており,その減衰極特性による阻止帯域の特性改善が可能であるという利点を有する.また,最近,LTCC基板(低温焼成多層基板)を用いた多層化によって,高周波回路の小型化を図る技術が注目を集めている.このような背景から,本研究では,多層構造を利用した小型化志向フィルタとして,折返し形コムラインフィルタを新たに提案する.今回提案するフィルタは,その主要構成要素である共振器を基板の一方の面から他方の面へと折り返すことで,構造全体の小型化を実現している.FDTD法(時間領域差分法)による解析とともに,実際にフィルタを作製し,理論と実験の両面からその特性を検討する.そして,試作フィルタの測定結果と,FDTD法による数値解析結果とを比較検討し,両者はよく一致することを示す.更に,共振器のステップインピーダンス化による小型化の可能性,また共振器間の結合度の調整による,減衰極の可制御性を検討することにより,本フィルタの実用的有用性を明らかにする.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-04-01