53. Glycogenosome形成機序に関する研究(2) : カドミウムおよび他の亜鉛属金属によるα-glucosidase活性の阻害効果

概要

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糖原病II型のPompe病において形成されるglycogenosomeは, α-glucosidase活性欠損の結果と考えられてきた。我々は実験的Cd中毒症において坐骨神経にそれが形成されることを知った。そこで, Cdおよび他の亜鉛属金属のα-glucosidase活性に対する効果を検討した。ネズミの肝および坐骨神経を使用し, 10000×g20分の上清をcrudeな試料として実験を行ったところ, 250μMの濃度で, CdとZnは, neutral α-glucosidase活性を約1/3に減じ, acid α-glucosidaseには, 阻害効果がなかった。Hgは同濃度ではacidおよびneutral α-glucosidase共に阻害効果が著るしいが, 2.5μMでは主としてneutral α-glucosidase活性を阻害した。亜鉛属以外のAsには阻害効果がなかった。またEDTA 1mMを加えたsucroseでhomogenateするとEDTAを加えなかった場合の1/2に活性が減じた。さらにgel濾過によるpartial purificationをしたglucosidaseを使用して阻害効果をみると, それは拮抗型の阻害効果を示すものであると考えられた。興味ある点は, Cdによるglycogenosomeの形成がneutral α-glucosidase活性を阻害することによりおこることである。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20