知覚モダリティを超えて : 視知覚に及ぼす聴覚の効果(<小特集>聴覚と脳)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
聴覚刺激による視知覚の変容に関する三つの新しい発見を概説する。第1に, 視覚的な時間分解能は, 音が付随すると, 視聴覚刺激の時間系列及び遅延に依存して, 向上もしくは低下する。第2に, 単一の視覚フラッシュは, 複数の音と共に提示されると, 複数のフラッシュとして知覚されることがある。第3に, 互いに近づくように動く二つの物体からなる多義的な運動パタンは, それと同期していない音が鳴っても, あるいは音がなくても, 二つの物体が交差してまっすぐ動いていくように知覚されるが, 二つの物体が重なった時点に同期して音が鳴ると, それらの物体が衝突して反発するように知覚される。これらの発見に基づいた著者らの主張は, 従来信じられてきた視覚優位性に反して, 聴覚が強力な過渡的信号を与える場合には特に, 聴覚が視覚を変化させるというものである。
- 社団法人日本音響学会の論文
- 2001-03-01
著者
-
柏野 牧夫
NTT CS 基礎研究所
-
柏野 牧夫
日本電信電話株式会社nttコミュニケーション科学基礎研究所
-
神谷 之康
カリフォルニア工科大
-
渡辺 克巳
カリフォルニア工科大
-
下條 信輔
カリフォルニア工科大
-
シャイア クリスチャン
カリフォルニア工科大
-
ニジャワン ロミ
カリフォルニア工科大
-
シャムズ ラダン
カリフォルニア工科大
-
岡田 美苗
日本女子大
-
下條 信輔
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
-
ニジャワン ロミ
カリフォルニア工科大:サ***大
-
岡田 美苗
日本女子大学
関連論文
- 脳における感覚情報の時間的符号化(聴覚と脳)
- 3囚人問題研究の展開と意義をふり返って
- 聴覚皮質における音源位置の符号化(聴覚と脳)
- 頭外音像定位における頭部回転運動の影響
- 頭外音像定位における移動音の影響
- 両耳間時間差の変化に基づく音源移動検出モデルの検討
- 視覚皮質過程と意識経験のダイナミクス : TMSによるアプローチ(視知覚とその応用及び一般)
- 視覚皮質過程と意識経験のダイナミクス : TMSによるアプローチ(視知覚とその応用及び一般)
- 皮質遠心系と行動上意味のある音の処理 : 展望(聴覚と脳)
- 知覚モダリティを超えて : 視知覚に及ぼす聴覚の効果(聴覚と脳)
- 振幅変調音に対する順応は空間選択的か?(研究発表E,AVプレゼンテーション,VII.第18回大会発表要旨)
- 単耳刺激と両耳刺激による振幅変調に対する順応
- 順応現象を用いた視聴覚間の同時性を判断するメカニズムの検討
- 視覚選好判断の, 行動/神経対応
- ピッチ知覚における絶対音感保持者の場所情報, 時間情報の利用
- 絶対音感保持者のピッチ知覚特性
- 絶対音感保持者の基礎的聴覚能力
- 2音の時間順序判断における後続音の効果
- 2音の時間順序判断における注意の役割
- 2音の時間順序判断における先行音の効果
- 2音の時間順序判断における順応の効果
- 認知神経科学の基礎と動向 : 理学療法への応用を探る
- 行為の能動性はどこへ行くのか? : 意思決定の神経メカニズムをめぐって(システムとしての生命に学ぶ)
- 両耳間時間差の弁別における学習効果とその転移
- トピックス4 音素修復(〈特集〉-音響学における20世紀の成果と21世紀に残された課題-)
- 認知神経科学の基礎と動向 : 理学療法への応用を探る