尿中高分子分画の蓚酸カルシウム結晶成長抑制因子について

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尿から抽出した酸性ムコ多糖類の修酸カルシウム結晶成長抑制能を検討した.5名の正常人尿を使用し,5μm,0.22μmのフィルターで濾過後,分画分子量3万の膜を用いて限外濾過,濃縮を行った.この試料を陰イオン交換クロマトグラフィーで分離したところ,3つの分画に分離された。ピークAは蛋白のみを含み,ピークBは蛋白と酸性ムコ多糖類を含み,ピークCは酸性ムコ多糖類のみを含んでいた.ピークAとBはSephacryl S-200により更にゲル濾過を行った.これらの分離された試料の修酸カルシウム結晶成長抑制活性は,小出らのseed crystal法で測定した.酸性ムコ多糖類の定性は,セルロースアセテート膜を用いた二次元電気泳動を使用し,蛋白の分子量測定にはSDS-ポリアクリルアミド電気泳動法を使用した.ピークAは多糖類の蛋白を含んでいたが,結晶成長抑制活性は低かった.ピークBは分子量130,000,45,000,35,000の3種類の蛋白とウロン酸を含んでいた.ピークBで最も高い結晶成長抑制活性を持つ分画は分子量50,000前後であり,この分画に含まれる蛋白の正確な分子量は42,000で,酸性ムコ多糖類の定性ではケラタン硫酸であった.ピークCの酸性ムコ多糖類はコンドロイチン硫酸が主であり,ヘバラソ硫酸が少量含まれていたが,高い結晶成長抑制活性を示した.これらの実験結果から,床より抽出された酸性ムコ多糖類は高い修酸カルシウム結晶成長抑制能を持つことが示された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-06-20

尿中高分子分画の蓚酸カルシウム結晶成長抑制因子について

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