ヒト精漿中のN-acetyl-β-D-glucoSaminidase(NAG)iSoenzymeの分離,およびその酵素学的特性についての検討

概要

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ヒト精漿中のNAGはcellulose acetate膜を用いた電気泳動により,2つのisoenzymeに分けられた(I,II).これらはDEAE-Sephadex columnにて分離された.即ち,isoenzyme Iはclumnに吸着された後,0.1MのNaClにて溶出される分画に,またisoenzymeIIはcolumnに吸着されない分画に存在した.これらのisoenzymeの酵素学的特性につき検討し,下記の様な結果を得た.1) 両isoen-zymeともsodio-m-cresol-sulfonphtaleinyl-N-acetyl-β-D-glucosaminideに対し同じKm値を示した(0.27×10^<-3>M).2) 両isoenzymeともoptimal pHは5.4であった.3) optimal tempetatureについてみると,isoenzymeIは50℃であったが,IIは65℃であった.isoenzymeIIは加温に対し安定であったが,Iは加温により容易に不活化された.これらisoenzymeI,IIの酵素学的特性は脾,腎組織のNAG A,Bとそれぞれの一致がみられた.精路組織におけるIとIIの活性比率についてみると,精巣上体頭部では62:38であったが,精巣上体尾部では42:58となり,精嚢では38:62,前立腺では35:65,精奨では27:73であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1989-11-20