腎原発骨形成肉腫の1例

概要

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腎原発の異所性骨形成肉腫の発生は非常に稀である。1936年Hainingらは初めて腎原発骨形成肉腫(76歳男性,左腎より発生)を報告した。本邦においては1972年一条らが初めて報告した。われわれが調べ得た限りでは自験例を含めて10例のみである。(症例)56歳女性,左側腹部痛を主訴として来院。左側腹部に小児頭大の表面凹凸ある腫瘤を触知。KUBで左腎上極に一致して石灰化陰影を認め,IVPで左上腎杯は描出されず,中下腎杯および腎孟の変形を認めた。腎動脈撮影あるいは腎シンチグラムにて左腎上極にavascularな病変を認めた。万灰化を伴なう左腎腫瘍を疑い1976年10月21日手術施行。経腹的に腫瘍を含めて左腎を摘出した。組織診断は骨形成肉腫であった。全身骨に異常なく,手術所見及び摘除標本所見より腎原発骨形成肉腫と診断した。腎原発骨形成肉腫10例の年齢は43歳から82歳までで40歳以下の症例はなかった。性別では男性4例,女性6例でやや女性が多く,患側は右側4例,左側6例で左側にやや多く発生した。腎原発肉腫および異所性骨形成肉腫について文献的考察を加えた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文