前立腺癌に対する内分泌化学療法の組織学的治療効果に関する検討

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前立腺癌に対する初期治療としての内分泌化学療法の組織学的効果を内分泌単独療法と比較検討した。初回治療例を対象とし,診断確定のための生検採取から2度目の組織採取までを1年以内の例に限定して,いわゆる再燃例を除外した。また,治療効果判定を厳密にするために2度目の組織採取はTURまたは剖検例に限定した。組織学的治療効果判定は,前立腺取扱規約作成委員会の提唱する前立腺癌組織学的治療効果判定基準(案)(1988年)に従った。対象は10例の内分泌化学療法群と10例の内分泌単独療法群,計20例から成る。各群の組織学的分化度,臨床病期は,内分泌化学療法群では高分化癌3例,中分化癌6例,低分化癌1例であり,臨床病期は,StageB 5例,StageC 1例,StageD 4例であった。内分泌単独療法群では,高分化癌5例,中分化癌2例,低分化癌3例であり,臨床病期は,StageB 2例,StageC 1例,StageD 7例であった。また,治療期間は内分泌化学療法群では1〜10ヵ月(平均5ヵ月),内分泌単独療法群では,1〜7ヵ月(平均3ヵ月)であった。Grade0-b以上の有効例は,内分泌化学療法群では8例(80%),内分泌単独療法群では7例(70%)で両群間で有意差はなかったが,Grade2以上の著効例は,内分泌化学療法群では4例(40%),内分泌単独療法群では0例(0%)で両群間で有意差を認めた(χ^2 test; p<0.05). Grade 2以上の著効4例はいずれもstageBであった。また,内分泌単独療法群では低分化癌でGrade0-aの無効例の率が高かったが,内分泌化学療法群ではGrade2以上の著効例を認めた。これらの結果は,初期治療として内分泌療法に化学療法を加えることが,特に分化度の低い前立腺癌においては効果的であり,再燃例の減少に通ずる可能性を示唆している。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-09-20

前立腺癌に対する内分泌化学療法の組織学的治療効果に関する検討

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