腎盂尿管腫瘍の臨床的検討 : 特に補助的化学療法の意義について

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組織学的に診断された93例の腎盂尿管腫瘍の臨床的検討を行った.男子55名女子38名で, 平均年齢は64.8歳であった.腎盂61例, 尿管55例, 腎盂尿管両臓器発生23例であった.34例で膀胱腫瘍の発生が見られた.多発発生が41例と高頻度に多発が認められた.5年生存率は全体で46.0%であった.pTa, pT1, pT2, pT3, pT4の組織学的深達度別の5年生存率は, それぞれ93.3%, 71.8%, 37.5%, 30.4%, 10.5%であった.予後に影響を与えると考えられる因子を生存率から比較した.性別, 年齢, 腫瘍発生部位・側, 多発性, 膀胱腫瘍やCISの合併などは生存率に影響を与えていなかった.ABC分類ではB群で生存率が悪い傾向を示したが, B群に深達度の高し) ものが多かったためと考えられた.異型度および壁内静脈およびリンパ管侵襲の有無と生存率ともよく相関した.しかし, 異型度, 壁内静脈およびリンパ管侵襲の有無と組織学的深達度の間には, 非常に強い関係があり, 深達度が生存率にもっとも重要な因子であると考えられた.手術術式と放射線照射も, 同じ深達度で比較すると生存率に影響を与えていなかった.化学療法は非施行群と比べ全体としての生存率の改善には効果がなかった.しかしpT3以上の浸潤癌のみの群で比較すると生存率の向上に役立っていた.従って, 浸潤性の上部尿路癌ではシスプラチンを含んだ化学療法を行った方が良いと考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-08-20

腎盂尿管腫瘍の臨床的検討 : 特に補助的化学療法の意義について

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