前立腺癌の根治的膀胱前立腺全摘除術標本の病理組織学的検討

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前立腺癌の外科的治療として,根治的瞬胱前立腺全摘除術を施行し,その病理組織学的検討を行った.症例は33例の前立腺癌で,治療前臨床(進展度)分類(T)はT1・1例,T2・6例,T3・18例,T4・5例,分類不明のもの3例であった.T分類と術後病理組織学的(進展度)分類(pT)の比較からは,T分類の診断はpT分類よりunder diagnosisの場合が多かった.摘除標本のmappingからは膀胱壁内浸潤はほとんどが連続性進展であるが,時に非連続性に膀胱内進展をみることがある.リンパ節転移に関しては,高分化癌には転移が認められなかったが,中,低分化癌ではその頻度が高かった.病理組織学的進展度との関係は,pT3までの症例8例中1例に,pT4 22例においては17例(77%)にリンパ節転移を認めた.リンパ節転移陽性例18症例についてみると,転移部位は閉鎖節に転移頻度の高い傾向はあるものの著明な特定部位はみられないようである.転移陰性例は必ずしもlow stageの症例のみではなく,分化度もlow gradeのものは少なく,大部分が中,低分化型であった.これらの結果から,前立腺癌の根治的外科的治療として,根治的前立腺全摘除術に適応の症例の診断は難かしく,治癒手術として根治的膀胱前立腺全摘除術術式によらねばならない症例が多いという明証が得られたように思われる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1986-09-20

前立腺癌の根治的膀胱前立腺全摘除術標本の病理組織学的検討

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