腎癌転移病巣に対する動脈内注入療法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1976年〜1986年6月の約10年間に28例の転移性腎細胞癌症例に対して動脈内抗癌剤注入療法を施行した.対象病変は,主に肺で,その他,骨,後腹膜,肝の転移病巣である.肺転移に対しては,気管支動脈,肋間動脈に注入し,骨,後腹膜転移に対しては,腰動脈,その他,肝,脾,内腸骨動脈に注入した.なお,骨,後腹膜病変に対しては,塞栓術も併用した.注入薬剤は,主にmitomycin Cで,その他carboquone, adriamycin, ACNUを使用した.肺転移病巣でfeeding arteryよりの血流が豊富な症例に於てのみ効果が見られたが,奏効率(CR+PR)は,右肺病変で23.5%,左肺病変で25.0%であった.肺以外の病変では,客観的効果が見られなかったが,骨,後腹膜病変による自覚症状は飛躍的に改善された.副作用として特筆すべきものはなく,比較的侵襲が少なく頻回に繰り返し施行できる治療法であると考えられた.以上の経験を踏まえて腎細胞癌転移病巣に対する動脈内注入療法の問題点を整理し,現時点における適応と今後の課題について考察した.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1987-07-20
著者
-
呉屋 朝幸
国立がんセンター外科
-
松本 恵一
国立がんセンター
-
宮沢 直人
国立がんセンター病院外科
-
垣添 忠生
国立がんセ病泌
-
鳶巣 賢一
国立がんセンター中央病院 泌尿器科
-
宮沢 直人
平塚市民病院外科
-
高井 計弘
日赤医療センター
-
垣添 忠生
国立がんセ
-
高井 計弘
国立がんセンター
関連論文
- 46.肺癌に対するLimited operation : 第74回肺癌学会関東支部
- P-64 「東京から肺癌をなくす会(ALCA)」で発見された肺癌症例の検討
- 23. 気管支腺型腺癌23例の臨床病理学的検討 : II要望課題(2) : 気管支腺起源と考えられる肺癌 : 第92回日本肺癌学会関東支部会
- 第99回日本肺癌学会関東支部会 : 9.右上葉切除11年後の右主気管支再発肺腺癌に対するSleeve Pneumonectomyの1例
- 24.術後, 著明に消退した疱疹状皮膚炎を合併した肺癌の1例(第97回日本肺癌学会関東支部会)
- 好酸性無定形物質の著明な沈着を伴った肺形質細胞腫の1例
- E-1 肺癌手術における開胸時胸腔内洗浄細胞診の意義
- 第104回日本肺癌学会関東支部会 : 41.後縦隔原発海綿状血管腫の1例
- 第104回日本肺癌学会関東支部会 : 14.SLE合併Castleman's diseaseの1例
- 第103回日本肺癌学会関東支部会 : 6.大細胞癌で,副腎転移,小腸転移切除を行い,5年生存を得た1症例