山陰地方の中新統層序と古地理

概要

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山陰地方の中新統について, 各堆積区ごとに従来の資料を整理して層序対比を行った。山口県油谷湾以西の西海区は, 漸新世から引き継がれた北九州の堆積盆の延長であり, 厚い外洋性堆積物からなる中部中新統が漸新統を不整合で覆う。中国山地に模式的に分布する瀬戸内区中新統は, 中期中新世の海侵に伴う熱帯浅海堆積物が顕著であるが, 上部は深海化と閉鎖的海域の出現で特徴づけられる。本地方の大部分を占める山陰北陸区では, 激しい火成活動を伴う非海成の下部中新統と海成中部中新統からなり, 山陰中部, 山陰東部, 島根半島, および隠岐諸島で, 堆積時の構造運動を反映して層序と岩相に違いがみられる。層序対比をもとにして本地方の中新世を波多期(22-16.5 Ma), 川合期(16.5-16 Ma), 久利期(16-14.5 Ma), 大森期(14.5-14 Ma), 布志名期(14-12 Ma), 松江期(12-10 Ma)および都万期(8-6 Ma)に分けて, それぞれ古地理図を示した。
日本地質学会の論文
1992-03-15