100., 陸前國七北田地方に於ける Glycymeris matumoriensis の産出状態に就いて
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概要
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仙臺北方七北田地方に發逹せる中新統中 Glycymeris の帶をなして廣く分布せる礫岩あり。之は筆者等の Glycymeris 帶と呼ぶものなり。該帶中最も多く産する化石は Glycymeris matumoriensis NOMURA and HATAI にして, その形大型にして, 恰も圓形をなし, 厚き殻を有す。地層中に合まるゝ状態は normal なり。即ちconvex side を上方に向けるもの多く, convex side を下方に向けるもの前者に比し少し。概して地層の傾斜面に對し平行或は少しく斜に位置す。他の介化石も同樣摩滅を受けたるもの, 或は破片となりたるもの甚だ稀にして, 總じて堅牢なるもの多し。礫岩中の礫は多くの場合大きさの一樣なるもの配列し, 其の間に頗る大なるもの挿入することあるも極めて少し。固結物は砂にして, 二次的變化により生じたる石灰物質を以て凝固し, 場所により凝灰質なる部分もあり。中新統中 Glycymeris帶と名付けられたるもの殆んどなく, 鮮新統又は更新統にては時々觀らるゝものあり。介殻の厚さ, 大いさ, 量及層位上より判斷するに該帶は恐らく淺海に於て形成せられしものと思推す。
- 日本地質学会の論文
- 1940-02-20
著者
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