被着材のかたさと歯質接着性セメントの接着強さ

概要

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すぐれた接着強さをもつレジン系セメントの接着強さは被着材の剛性によっても変化する.そこで, 被着材にビッカースかたさで10〜220の金属と, 牛歯および人歯を用いその関係を調べてみた.金属には接着力を同一にし, 剛性の影響のみが調べられるようスズ・メッキを施し, 試験した.また, 歯は表層から200μmずつ研削し, かたさ, または組織構造の異なる部分での接着強さを測定した.金属の場合, 1%の危険率でかたさ(x)と接着強さ(y)の間に相関性が認められ, その回帰は4-META系セメント(SB)でy=1.01x+140, リン酸エステル系のセメント(PE)でy=1.04x+111であった.歯の場合, その表層からの深さと接着強さの間には強い相関関係が認められた.しかし, かたさとの間には統計的な有意差は認められなかったが, エナメル質の場合, SBでのかたさに対する接着強さの勾配係数は約0.2程度, PEではほとんど0であり, 象牙質にはSBのみ勾配係数が1と高かった.また, 人歯と牛歯での接着強さにはほとんど差が認められなかった.
日本歯科理工学会の論文
1987-05-25