タンニン・フッ化物合剤(HY剤)を配合したグラスアイオノマーセメントの基礎的物性およびF溶出量について
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概要
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タンニン・フッ化物合剤(HY剤)を配合したグラスアイオノマーセメント(GIC)の象牙質への影響を調べる前段階として, HY剤を各種の割合で配合したグラスアイオノマーセメントの基礎的物性およびF溶出量を検討した.HY剤をGIC粉末に0, 1.5, 5.0, 10.0, 15.0, 20.0重量%配合した試料について, 硬化時間, 圧縮強さおよび崩壊率をISO規格に準じて測定した.また, HY剤の配合割合の0から10.0重量%のGICを円柱状に硬化させて, 37℃の蒸留水へ溶出したF量を経日的に3ヵ月間測定した.その結果, HY剤の配合割合が高くなるにつれて, 硬化時間は延長し, 圧縮強さは減少した.崩壊率は, 一定量以上の配合割合になると急激に上昇した.セメント硬化体からのFの溶出量はいずれの配合割合のセメントにおいても, 1日目の溶出量が最も多く, 以後, 暫時減少したが溶出は長期間持続していた.また, 配合割合とともに増加し, 特に崩壊率が急激に上昇したセメントにおいて増加が著明であった.したがって, HY剤の配合割合の増加に伴うF溶出量の増加は, F含有量の増加ばかりでなく崩壊率とも密接な関係があることが示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1992-01-25
著者
-
小出 武
大阪歯科大学附属病院総合診療
-
山賀 まり子
京都府立医科大学付属病院歯科
-
小出 武
大阪歯科大学小児歯科学講座
-
小出 武
大阪歯科大学 総合診療部診療科
-
稗田 豊治
大阪歯科大学保存学教室
-
山賀 まり子
大阪歯科大学小児歯科学講座
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親里 嘉之
大阪歯科大学小児歯科学講座
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稗田 豊治
大阪歯科大学小児歯科学講座
-
親里 嘉之
大阪歯大・小児歯科
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