小児の咬合力について
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概要
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小児期の咬合型は, 歯の萌出状態や顎顔面頭蓋の成長発育の方向や大きさおよび咀嚼の機能の発達の良否によって左右されると考えられている. 小児歯科における長期間の歯科的健康管理に重要な部門を占めている咬合管理は, 咬合型の形態的な観点からだけでなく, 機能的に調和のとれた発達過程にあるか否かを診査する心要がある. そこで, これら小児の口腔機能についての研究の一環として, 本研究では小児の最大咬合力がどのように咬合機能に関与するかを知る目的で, バイトワックスを用いて, その噛み込み残量について検討した. 1)乳歯列期の咬合力は加齢的に大きくなった. 2)4歳児と5歳児との噛み込み残量の差は少なく, 加齢的な咬合力の増加があっても噛み込み残量は減少しなかった. 3)同年齢における噛み込み残量は, 咬合力が大きくなるにつれて乳臼歯部から乳切歯部への順に減少した. 4)同じ咬合力における噛み込み残量には年齢差を認めなかった. 5)加齢的な咬合力の増大に伴って, 噛み込み残量の出現状態(咬合様式)に特徴がみられたことから, 噛み込み残量は乳歯列における咬合力の指標となることがわかった. 以上のことから, 調和のとれた咬合機能という面で, 小児の年齢すなわち顎, 歯列の成長発育に対応する校合力が必要であることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1993-06-25
著者
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