リン脂質によるグリコプロテインの物理化学特性の変化と水素イオンの透過性について
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概要
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主として唾液由来のグリコプロテインからなるペリクルは, エナメル質に直接付着している無細胞, 無構造の細菌の存在しない有機質被膜である. 本研究では, グリコプロテイン (α_1-acid-glycoprotein) の標品を用い, リン脂質のうちホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルセリンによるグリコプロテイン層の物理化学特性, とくに疎水性および表面電位を検討し, またdiffusion chamberを用いて, リン脂質がグリコプロテイン層の水素イオン透過性に与える影響を検討した. グリコプロテイン層の疎水性と水素イオンの透過性について, ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルセリンそれぞれの脂質において, その含有量が多くなると, 疎水性が高くなり, 水素イオンの透過係数は低下したが, ホスファチジルエタノールアミンとホスファチジルセリンの異なる脂質において, グリコプロテイン層の疎水性が高いことと, 水素イオンの透過係数が低いこととは一致しなかった. グリコプロテイン層における表面電位の高低と水素イオンの透過係数の高低は一致した. グリコプロテイン層の表面電位は, グリコプロテイン層の疎水性よりも水素イオンの透過阻止に大いに関連のあることを示唆している. 以上の結果から, ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルセリンはグリコプロテイン層の物理化学特性を変え, グリコプロテイン層の水素イオンの透過性に影響を及ぼすことが明らかになった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1992-12-25
著者
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