溶体化処理したType IV金合金の変形機構

概要

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Type IV金合金は, 400℃付近でAuCu規則格子を形成して, 時効硬化することにより歯科臨床に供されている.この合金の溶体化処理材についてはほとんど研究されていないが, 時効材のマトリックスを構成するという意味で興味深い.本実験では溶体化処理したType IV金合金の変形挙動を知るために引張試験を行い, 荷重-伸び曲線に現れるセレーションの機構解明を試みた.実験はセレーションの形態および荷重の変化を引張変形の温度依存性, 歪速度依存性について調べた.その結果, 歪速度2.8×10^<-4>/secにおいて変形温度0〜250℃の範囲でセレーションが現れた.セレーションの応力降下は温度が上昇するにつれて大きくなり, また周期的にみられるセレーションのうねりは変形温度の上昇と共に短くなりやがて消滅した.また, 変形温度を一定にして歪速度を増した場合, セレーションの形態は全体的に低温側へ移行した.こられの結果をP-L効果の理論で説明するとすべての変形挙動を矛盾なく説明することができた.また変形後の試料研磨面の顕微鏡組織に線状の変形双晶がまったくみられないことから, もう1つのメカニズムである双晶変形は関与していないことを証明した.
日本歯科理工学会の論文
1992-01-25