鋳造冠用Ni-Cr系合金からのNiの溶出について

概要

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歯科合金の選択基準として耐食性は, 重要な要素である.今回7種の鋳造冠用Ni-Cr系合金の耐食性試験として37℃リンゲル液およびGreenwoodの人工唾液中に10週間浸漬した場合のNiの溶出量を測定した.また, 鋳造後試料の定量分析と鋳造組織を併せて検討した.その結果, 次のような結論を得た.1.微量に添加されていた元素は, Fe, Mn, Mo, Si, Cu, Wであった.2.Greenwoodの人工唾液に10週間浸漬した後のニッケル最大溶出量は, Super softの634.76μg/cm^2であった.また, 最小溶出量は, Summaloy Nickelの72.16μg/cm^2であった.一方, リンゲル液に浸漬した後の最大溶出量は, α-alloyの1311.56μg/cm^2, であり, 最小溶出量は, Summaloy Nickelの206.96μg/cm^2であった.3.Niの溶出は, Crの含有量のみでなく, Cu, Mo, Wに影響される.
日本歯科理工学会の論文
1984-07-25