実験室的にリン酸八カルシウムのアパタイトへの転化に影響を与える因子

概要

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調製したままの乾燥前のリン酸八カルシウム(OCP)沈殿物と乾燥条件の異なる3種のOCP粉末を3週間,11種の生理的溶液に浸漬した.この溶液はCa^<2+>, Mg^<2+>, K^+, Na^+, HCO_3^-, HPO_4^<2-&t;, F^-,アルブミン,コラーゲン,アルカリフォスファターゼより構成されている.また,ある溶液でpHを3つに変えた場合,温度を3段階に変えた場合についても浸漬実験をした.X線回折の測定結果より,OCPはMg^<2+>を含まない溶液へ浸漬後は結晶性の低いアパタイトにほとんど転化していた.そのX線回折の強度変化より求めたOCPの転化量について行った分散分析結果より,OCPのアパタイトへの転化は溶液の種類,pH,温度に対して有意差があり(危険率1%以下),一方乾燥条件についての有意差は認められなかった(危険率5%以上).また,赤外分光分析スペクトルより,Mg^<2+>を含まない溶液中でOCPから転化するアパタイトはCO_3が含まれているが,Mg^<2+>を含む溶液中ではほとんど変化がなかった.これらの結果は溶液中でのMg_<2+>の存在がOCPからアパタイトへの転化に対し,最も効果的な因子であると考えられた.
1993-12-25