二酸化鉛水和物によるクロム(VI)及びクロム(III)の吸着

概要

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四酢酸鉛の一定量を加水分解して得られる二酸化鉛水和物(HLD)によるCr(VI)及びCr(III)の吸着,更に両者の吸着へのPb(II)の共存の影響を検討した.その結果,Cr(VI)は,pH約7以下で吸着し,PH2付近に吸着極大を持つ挙動を示し,吸着種はHCr0_4-と考えることができ,pH3では100ml中にHLDを5×10^<-4>mol含む条件で,約2×10^<-6>molまでのCr(VI)をほぼ100%捕集できる関係が得られた.又,Cr(III)は,pH約2以下ではCr(III)イオンとして吸着するが,pH約3以上ではCr(VI)に酸化され,Cr(VI)と同じように吸着することが判明した.更に,Pb(II)の共存によって,Cr(VI)がクロム酸鉛(II)として共沈するため,pH3〜10の範囲でCr(VI)の吸着率が増加し,捕集可能なpH領域が拡大することが見いだされ,中性付近の溶液でもCr(VI),Cr(III)共に捕集できることが分かった.
社団法人日本分析化学会の論文
1987-06-05