海水中の銅の同位体希釈質量分析法(I)

概要

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試料溶液に^<65>Cuスパイクを添加して同位体平衡を成立させてから銅をジチゾン-クロロホルム中に抽出する.銅を6N塩酸中に逆抽出して蒸発乾固し,更に硝酸と過塩素酸とを添加してから完全に乾固する.それを1滴の純水に溶解して試料とし,レニウムのシングルフィラメントをイオン源とする表面電離質量分析法により,I^<63>Cu^+/I^<65>Cu^+を測定して銅含量を求めることができる.ただしI^<63>Cu^+とI^<65>Cu^+はそれぞれ^<63>Cu^+と^<65>Cu^+のイオンビームの強度である.イオン化時のシリカゲル・リン酸安定剤の量比を検討し,感度を既報の10倍の10^<-11>gに上昇させることができた.海水試料50gにO.1μgの^<65>Cuスパイクを添加した場合に,〜10^<-15>AのI^<65>Cu^+を得ることができ,I^<63>Cu^+/I^<65>Cu^+の変動係数は(0.3〜1.5)%であった.数十ngの銅量の繰り返し分析の分析精度は誤差3%程度であり,又海水の溶存成分による影響は認められなかった.本法は実験に用いる純水,各種試薬溶液中の銅定量にも応用できる.
社団法人日本分析化学会の論文
1976-10-10