超微量鉛の同位体希釈質量分析法

概要

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^<208>Pbスパイクを用いる超微量鉛の同位体希釈分析を表面電離質量分析法によって行った.イオン源はレニウムのシングルフィラメントで安定剤としてシリカゲルとリン酸とを併用した.シリカゲルとリン酸の量比を検討し,鉛量をngレベルに減少させた場合でも装置の検出感度の10^<-19>Aに対し10^<-15>AのPb^+イオン電流を安定に発生させることができた.次いで^<208>Pb濃縮スパイク溶液の濃度と同位体存在度を確定した後に自然鉛の同位体存在度の測定精度を検定し,同位体効果,メモリー効果の程度を知り,バックグラウンドの消滅法を検討した.本法によれば,(10^<-9>〜10^<-11>)gの鉛の正確な分析が可能で,ppbないしpptレベルの純水,試薬,天然水なども供試量はn×10gで足りる。分析精度を低下させることなく従来法のkgレベルの供試量を削減することができた.一方,実験室環境よりの汚染が分析精度を支配する重要な要素となった.
社団法人日本分析化学会の論文
1977-02-10