概念データモデルのマトリクス表現法
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概要
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従来,企業における情報システムは個別の業務の効率化に重点を置いて構築されてきたため,企業全体から見ると相互の連携がなく,企業の経営に必ずしも貢献しないという問題が指摘されてきた.特にこの傾向は多様な業務,データを扱う大企業で顕著である.これを解決するため,近年,企業内の,情報システム郡を体系的に構築するInformation Engineeringの考え方が有効であると提唱されるようになってきた(図1).この考え方によれば,まず,企業が保有するデータ,業務,及び,それらの関係を計算機による実現法にとらわれずに整理し(企業モデル),次に,その中でシステム化する領域を切りだして詳細化し(プロジェクトモデル),さらに,計算機による実現を考慮した最適化を施す論理モデル設計,物理モデル設計を行なうというアプローチを採る.特に,企業全体の鳥瞰図を与える企業モデルが従来の考え方にない特徴であり,この企業モデルを構築できれば,一部を切りだして実現した複数のシステム間でもデータ,業務に関する整合がとれることが期待できる.このため,これをいかに構築するかが企業のシステム企画部門にとって重要となっている.現在,企業モデルをデータの観点から表す手法に,データを実体とその関係で捉えるERモデルがあり,また,実体とイベントの関係,あるいは,実体のライフサイクルを表現する方法も提案されている.一方,企業モデルを業務の観点から表す手法に,業務とデータをアクティビティとその間の情報の流れで捉えるデータロー図(DFD)がある.しかし,これら種々の企業モデル表現法では,システム間のデータ,業務に関する整合性を把握する際に重要となる,以下のような情報を容易に読み取れないという問題があった.1)一連の業務の流れの中で,業務が扱うデータがどのように変化するか.2)業務を複数のシステムに分割して実現する場合システム間でどのようにデータが重複するか.今回,筆者らは,企業の保有するデータを表す概念データモデルを基本に,これに,業務の流れの中で扱うデータがどのように変化するかの観点を加え,両者をマトリクス型式で記述する表現法を考案した.この表現法を用いることにより,データ,業務に加えて,業務の流れの中で扱うデータの変化が視覚化され容易に把握できるようになった.2章ではマトリクス表現の概要を示し,3章ではこの表現法の例を示す.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1992-09-28
著者
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