シソーラスと概念間の距離に基づいた意味内容の抽象化

概要

論文の詳細を見る
高度な自然言語処理を行う場合、常に問題となるのが、対象ドメインに対する知識をいかに得、利用するかという問題である。要約処理においては、スクリプトや物語文法、解説文など特定の文章形態に固有の構造知識を処理の前提とすることによって、より一般的な処理を指向する反面で、適用対象となるテキストの範囲を限定してしまっている。また、これらの知識は人間が前もって抽出したものを与えておく必要もある。この問題に対して、大規模な知識ベースを構築しようとするプロジェクトも存在するが、まだ現実世界の問題に適用するには不十分と言わざるを得ない。この一方で、辞書、シソーラス、コーパスは着実に整備が進み、現在においても十分な質のものが利用できる状態になってきている。我々の目的は、現段階で利用可能なこれらのリソースのみを用いて、必要とされる検索・要約処理を行うということであり、本稿では、コーパスから抽出した知識に対してシソーラスに基づく概念間距離を用いることで、要約処理に必要な意味内容の抽象化を試みる。
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-09-04