アバウト推論 : 多観点概念ベースによる概念の被覆性判別

概要

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知識に欠落/矛盾があっても適切な解を求められる推論方式として、「アバウト推論」の研究を進めている。アバウト推論では、欠落した知識の補完を行なうために知識を構成する要素、すなわち概念の類似性を判別する必要がある。そのため、概念に関する知識ベース(「多観点概念ベース」)を実際に構築し、与えられた問題の状況を表す「観点」を考慮した概念間の類似判別方式を提案した。しかし、類似した概念を含む知識による補完が適切ではない場合がある。例えば、「ペンギン」が「雀」に類似していても、「ペンギンは泳ぐ」という知識で「雀」の知識の補完はできない。そこで、概略的ではあるが妥当性のある上位の知識による補完が有望と考えている。すなわち、「雀」の上位概念「鳥」を含む知識で補完を行なう。そのためには、概念間の上位/下位の関係の判定が必要となる。本稿では、先に提案した類似判別方式を拡張し、上位概念としての適切さを被覆度という尺度を用いて判別する方式を提案する。
社団法人情報処理学会の論文
1993-09-27