固定床を用いる接触生物酸化のシミュレイション : 改良型活性汚泥法(第1法)

概要

論文の詳細を見る
有機性排水または下水の2次処理方法としては, 活性汚泥および散水濾床法が最も一般的である.しかしながら, 活性汚泥法では汚泥の返送, 余剰汚泥の抜き出しとその処分, 膨化対策など, また散水濾床法では濾床の閉鎖, 悪臭, ハエの発生など, 日常の運転管理にはそれぞれ細心の注意を払う必要がある.そこで, ここでは日常の運転管理の容易な処理方式を確立する目的で, 微生物のための支持媒体としてサラン網(12メッシュ)を平行かつ垂直に設置した, 活性汚泥法と散水濾床法との各特長を有する曝気槽を用いて, 人工下水にたいする好気性生物処理を試みた.まず, 固定床曝気槽(a)と, これと同形, 動容積の完全混合型曝気槽(b)を用い, 負荷を増加させていった場合の処理成績を比較した.装置(b)では, 有機物質負荷1.0CODkg/m^3 1日以上(平均汚泥濃度;2400mg/l)で明らかに膨化現象を示したが, 装置(a)では, 糸状微生物が優先的に生育し, またCODの除去率は終始装置(b)における正常運転時と同等の85〜90%の値を示し操作上何らトラブルは認められなかった.ついで固定床曝気槽を用いて, 下水の処理を行なった場合における菌体の槽内蓄積量と下水のCOD除去率について, Monodの式を基礎としたモデル式を立て電子計算機を用いてシミュレートを行なった.なお, 動力学的各係数は別に固定床で生育した菌体を用いて回分試験で測定した.これらの値はμ_m; 1.2 1/日, Ks;65 mg/l, Y; 0.34,kd; 0.11 1/日であった.また希釈率は4.8 1/日, 菌体の初発植種濃度を200mg/lおよび下水の流入濃度を100〜500mg/l(負荷;0.48〜2.40COD kg/m^3/日)とした.固定床曝気槽の運転試験では, 流入濃度300mg/l(負荷; 1.44kg COD/m^3/日)としたが, この運転成績はシミュレーション曲線と良好な一致を示した.固定床を用いた下水の接触酸化では, 曝気槽内に蓄積する微生物量は毎日の有機物質負荷量に依存する.他方, 槽の酸素必要量は微生物量と有機物質の除去速度に関係づけられるから, 長期運転において槽内を好気条件に維持するためには曝気槽への有機物質負荷に限界値が存在することが考察された.したがって, 曝気槽の酵素供給能を基礎に有機物質負荷を決定する必要がある.
1975-12-25

固定床を用いる接触生物酸化のシミュレイション : 改良型活性汚泥法(第1法)

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク