Aspergillus nigerによるpullulan 4-glucano-hydrolaseの生産

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Aspergillus niger ATCC-9642株によるpullulan 4-glucanohydrolaseの生産におよぼす各種有機・無機窒素化合物および無機塩の添加による影響を検討した. 麩麹 (30℃) では, 酵素は水で容易に抽出され, その酵素の生産は72時間で最高に達し, 麩1g当たり5-6単位の酵素活性を示した. 麩に各種の化合物を添加すると, 酵素の生産は増大し, 特に, ペプトン(0.1%), 酵母エキス(0.5%), (NH_4)_2HPO_4(0.2%), CH_3COONH_4(0.2%), KCl(0.2%), MgCl_2・6H_2O(0.2%), MgSO_4・7H_2O(0.2%)の添加の場合, マルトースの分解活性の生産にほとんど影響をおよぼさずに, pullulan 4-glucanohydrolaseの生産だけが, それぞれ, 1.7,1.7,2.6,1.8,1.6,1.7,1.6倍に増大した. この結果から, 麩培養での同菌株によるpullulan 4-glucanohydrolaseの生産にはアンモニウム(NH_4Clの場合を除く), 硝酸塩, マグネシウム塩, カリウム塩が効果であることがわかった.米麹汁 (糖度6°, pH 6.0) を培地に用いて30℃で振とう培養すると, 大部分の酵素は菌体に蓄積されて生産された. 米麹汁に対して0.03%の窒素量として各種窒素化合物を添加し, 76時間培養すると, 酵母エキス, ペプチン, 尿素, NaNO_3,NH_4NO_3,CH_3COONH_4あるいは(NH_4)_2HPO_4の添加は菌体内のpullulan 4-glucanohydrolaseの生産に効果的であった. 酵母エキス, CH_3COONH_4,(NH_4)_2HPO_4について, 添加量を変えて, 酵素生産を検討した結果, いずれの場合も菌体内のpullulan 4-glucanohydrolaseとマルトース分解活性の生産は並行して増減した. 酵母エキス1.0%, CH_3COONH_4 0.2%, (NH_4)_2HPO_4 0.6%添加の時, pullulan 4-glucanohydrolaseの生産は, それぞれ, 無添加の場合, 23倍, 2.4倍, 5倍に増加した. 液体培養において無機塩の添加を検討した結果, MgCl_2・6H_2Oの添加はマルトース分解活性の生産にほとんど影響せず, pullulan 4-glucanohydrolaseの生産だけに効果があり, このマグネシウム塩0.07%の添加により, pullulan 4-glucanohydrolaseの生産は対照の6.1倍に増大した. このマグネシウム塩の添加効果は麩麹培養の時にも見られ, pullulan 4-glucanohydrolaseの生産に特異的であると思われる.
社団法人日本生物工学会の論文
1973-10-25

Aspergillus nigerによるpullulan 4-glucano-hydrolaseの生産

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