気液並流系多孔板段塔の多段連続培養槽としての性能 : (II) 気液並流系の流動特性
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概要
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諸言 先に, 多孔板を用いて10段に仕切った気液並流系の塔内で, 微生物を好気的に連続培養を行ない, 培養液の流れ方向に沿って, 各段槽に菌令の分布が起ることを報告した。その他, 多孔板で仕切らない同容積の塔で, wash outを起こさないような稀釈率でも, 多孔板で塔内を仕切った場合にはwash outが起ることをも報告した。このような事実は, 装着した多孔板が培養液の流れと混合に重要な役割を演じていることを予想させるに十分であった。そこで, 本報告では気液並流多孔板段塔の流動性を, 工学的に測定し, 多孔板の孔径, 孔面積率などの影響をしらべた。実験結果 気液並流下の流動状態を肉眼的に観察すると, 多好板で仕切られた各段槽内の液体は通気によってきわめてよく撹拌され, 下部より供給される液は, その流量に従って多孔板を通って上段槽に移り, 最上段より溢流するという, 全体としての定常状態にあることが認められた。しかしながら, 特筆すべきことは, 各多孔板の下部の空間の存在が観察されたことである。これは比較的多量の空気が, 多孔板の存在によって上昇を妨げられて生じたものと考えられた。この空間によって液の連続性がなくなり, 塔内全体として, 各段槽が独立した不均一相として存在するようになることが考えられた。あらかじめ培養によって得たE. coli.の濃厚cell suspensionを, 定常気液並流状態にある直径70mmの多孔板段塔の流液入口附近に, δ-函数的に注入し, 出口における応答を濁度の変化を測定して, 滞令時間分布曲線を得た。そのパターンが, ほぼ槽列モデルを適用して得られるものと近似したことから, 塔の流動特性を槽列モデルによる相当槽数で発表することとした。 多孔板孔径2mm, 3mm, 5mm, 10mmと変化させ, さらに開口率を10%から1.8%の範囲で, 同様な方法で流動特性を4段に仕切った塔について測定した。結果を相当槽数で整理した。孔径2mmの場合は開口率にかかわらず, 各段槽はほとんど完全に独立した完全混合槽として挙動することがわかった。しかし孔径を3mm以上にするときわめて段階的に各段槽の独立性が失われるという結果を得た。この場合, 開口率は小さくすることによって幾分の改善が得られたが, 実験の範囲内では, 孔径2mmの特性には及ばなかった。 通気量が増加すると一般に流動特性は改善され, すなわち, 段槽間の混合の減少, 多孔板の仕切り効果が認められた。特に, この傾向は開口率の低い場合に明瞭であった。気液並流で流路が共通であるための競合によって特性の改善が認められたと考えられる。液の粘度を9.0,28.5,および89.5cp.として10mm孔径, 開口率7.3%の場合について, 相当槽数らを求めた。粘度1cp, すなわち水の場合にはj=2.0であったが, 粘度増加とともにj=2.8に増加した。若干の改善が得られたが, その影響は顕著ではなかった。供給液系の表面張力を38.2dyne/cmと下げると, 2mm孔径孔板装着の場合でも, 相当槽数の著しい低下, すなわち各段槽の独立性の減少が起った。段槽間の混合阻止には液の表面張力がかなり支配的因子であることが考えられたが, この問題については別に検討を加えることとした。その他, 孔板間かくの影響をしらべたが, 実験の範囲内では無関係であった。直径145mmの塔について2mm孔径, 10%附近開口率の多孔板で6段に仕切ったものについて同様に実験を行ない, 各段槽の独立制を確認した。 これらの結果より2mm孔径以下の多孔板を用いた場合に, 多段槽としての特性を最もよく発揮することができることがわかった。しかし, 3mm以上孔径の多孔板を用いる際には, 開口率を減少せしめることによって, ある程度目的を達しうることが予想された。
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1969-06-25
著者
-
尾崎 浅一郎
三楽オーシャン株式会社:中央研究所
-
北井 淳夫
三楽オーシャン株式会社, 中央研究所
-
五嶋 慎治
三楽オーシャン株式会社・中央研究所
-
北井 淳夫
三楽オーシャン株式会社:中央研究所
-
北井 淳夫
三楽オーシャン(株)
-
五嶋 慎治
三楽オーシャン(株)中央研究所
-
五嶋 慎治
三楽オーシャン株式会社:中央研究所
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