メタノール資化酵母の各種基質の増殖特性

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当研究所で分離同定されたタイプの異なる2つのメタノール資化酵母Candida methanolicaとTorulopsis methanolovescensをメタノール, エタノール, 酢酸およびグルコースを唯一炭素源として種々な初発濃度(S_0)で回分培養を行い, 増殖特性値を実験的に求めるとともに, 各種基質およびS_0が増殖特性に及ぼす影響について解析した.両菌株およびすべての供試基質において, 一般的にS_0を増すと最大菌体収量は増すが収率因子は低下し, かつlag timeは長くなった.本試験で最も興味ある結果は対数増殖期の比増殖速度(μg)についてであり, エタノール基質では両菌株とも各S_0についてμgは一定値をとるにもかかわらず, 全般的には基質濃度(S)の関数として表わされ, 基質阻害機構から導かれた式で実験値を説明されうることが判った.一方, メタノール, 酢酸, グルコース基質では, 増殖が起ればμgはそれぞれの基質および各菌株についてS_0に無関係に一定値をとり, Sの関数として表わされ得ないことが判った.この菌株および基質の種類が固定されれば, Soを増すことによりlag timeは長くなるが, S_0 とは無関係にμgは常に一定値をとるという増殖過程はSによる増殖阻害のメカニズムに依るものではなく, 微生物の環境への適応現象により説明されうるものと考えられた.
社団法人日本生物工学会の論文
1976-04-25

メタノール資化酵母の各種基質の増殖特性

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