森林の遷移過程における社会的厚生関数の形状変化
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概要
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均衡財政を前提として, 各林分に対してその公益的機能の大きさに比例する補助金を支給した場合, 公益的機能の額と国民所得の二つの変数の関数として定義された社会的厚生関数が輪伐期の転換過程においてどのように変化するかを解明した。補助金の支給がもたらす動学的複合多部門乗数効果による国民所得の減少額については, 産業連関表を利用した階差方程式による計算結果を用いた。生産者は定常状態における経常的純収益が最大となるような法正林を企図して伐期の転換を図るものとして, この転換過程における, 伐期, 森林全体の公益的機能の大きさ, 補助金の総額, 国民所得および社会的厚生関数の各々の時間変化を表す3次元図表を作成し, これらの図表を用いて, 同関数の形状変化を考察した。考察の結果, 「定常状態における社会的厚生が最大となるように補助金を支給した場合, 当初は社会的厚生が現在よりも減少し1〜40年後にそれが現在よりも大きくなる。60〜80年後にはそれは概ね定常状態に達し, 以後はこの状態が半永久的に続く。」等の諸特性が判明した。
- 日本森林学会の論文
- 1999-08-16
著者
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