逐次意思決定モデルによる最適間伐量の決定(III) : 価格変動の間伐計画への影響
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概要
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第I, II報では, 密度管理図の理論を応用し, 植栽時より伐期までの間のスギの総収穫量および純収益を最大ならしめる間伐計画を作成した。本報では, これまでは伐期にいたるまで不変であると仮定した立木の市場価格, 山林労働者賃金および割引率が変動するとした場合, 間伐計画がどのように変更されていくのかを考察した。変動パラメータ値の範囲は, 過去100余年間の諸財価格等のデータをもとに設定した。考察の結果, 立木価格および賃金の変動幅がそれぞれ, 現在値の0.8〜2.0および0.8〜1.5,割引率の変動幅が3.0〜9.0%なる範囲内で, 以下の結論を得た。立木価格が上昇するほど, また賃金が低くなるほど間伐の時期は早まる。しかし伐期が70年以上の場合は, この変動が間伐計画に及ぼす影響は小さく, 伐期まで残すべき立木本数も, 植栽本数の2割程度以下に限定される。また, パラメータ値の変動にかかわらず, 間伐をもっとも強く実施すべき林齢は, 伐期が50年以上の場合, 20〜40年の間に限られる。林木供給者の行動は, 諸財価格の変動に対して概して非感応的である。
- 日本森林学会の論文
- 1992-09-01
著者
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