逐次意思決定モデルによる最適間伐量の決定 (II) : 純収益の最大化
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概要
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第1報では, 密度管理図の理論を応用し, スギの総収穫量を最大ならしめる間伐計画を作成した。本報ではさらに, 実際の立木価格および育林費を考慮に入れ, 植栽時より伐期までの間の純収益の総計を最大ならしめる間伐計画を作成した。単位材積当たりの立木価格は, 市場価逆算法により求め, 樹高および材積の2変数の関数として表示した。考察の結果, 福島県いわき地区のスギ人工林分について以下の結論を得た。材積分布の分散およびその左偏の程度が間伐計画に及ぼす実質的影響は小さい。一般に割引率が高い場合ほど, 間伐の効果は強く現れる。割引率が3%以上の場合, 間伐を最も強く実施すべき時期は林齢がほぼ20〜40年の間に限られる。伐期まで残すべき立木本数は, 植栽本数の2割程度以下である。内部収益率は伐期とともに変化するが, それが最大となった後は, 無間伐林分では急激に低下する。これに対して間伐林分では, 高伐期に至るまでその低下の程度が比較的穏やかである。
- 日本森林学会の論文
- 1991-09-01
著者
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