スギ人工林におけるNPV曲線および等NPV線について
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概要
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人工林におけるNPV(総純収益の現在価値)は, 諸財の価格を所与とすれば, 割引率および伐期の2変数の関数として表示することができる。本報ではまず, 所与の割引率のもとでのNPVの伐期依存性を表すNPV曲線, および一定のNPVをもたらす割引率の伐期依存性を表す等NPV線の二つの曲線を考え, これらを3次元座標空間上に表示することにより, 両曲線の間に成立する一般的な関係を調べた。次いで, 福島県いわき地区のスギの人工林分について, これらの曲線を実際に描き, その形状から最適伐期, および生産関数に関わりのあるフロー量としての平均年利益が, どの程度の値になるのかを考察した。考察の結果, 以下の事実を確認することができた。NPVを最大化する伐期は, 間伐林分の方が無間伐林分よりも概して長い。高単価丸太の需要があるとき, 地位が上, 伐期が80年以上では, この平均年利益は, 間伐林分では無間伐林分のそれのおよそ1.6〜1.7倍に達する。平均年利益の地位間の差異は, 地位が下の林分では, 地位が上の無間伐林分のおよそ30〜40%程度にしかすぎない。
- 日本森林学会の論文
- 1993-11-01
著者
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