逐次意思決定モデルによる最適間伐量の決定(I) : 収穫総材積の最大化
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概要
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実際のスギの立木価格および育林費を考慮に入れ, 植栽時より伐期までの間の純収益の総計を最大にする間伐量の予測を行った。立木価格は, 各立.木の有する材積に大きく依存するため, 個々の立木の材積成長を問題とした。第1報においては収穫総材積を最大にする間伐量の予測を行った。間伐の組合せを実質的に有限なものとするため, 間伐率の概念を自然枯死がある場合に拡張して定義し, これを用いて総収量を計算した。可能なすべての間伐の組合せの中から総収量を最大ならしめる間伐体系を, 枚挙法を用いて選び出した。立木の材積の分散の取り扱いは, 実際の分布を, 無分散, 矩形型および三角形型の三つの単純な分布に置き換え, それにより得られた結果を比較する方法によった。計算の結果, 植栽本数が6,000本/haの場合, 最大収量は, 林齢20〜50年に間伐率0.2程度の間伐を3回程度施すことによって得られ, その値は間伐を施さない場合の6.0〜14%増であること, および, 材積の分散が結果に及ぼす影響は比較的小さい, などの結論が得られた。
- 日本森林学会の論文
- 1990-07-01
著者
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