森林の公益的機能を変数に含む社会的厚生関数の最大化
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概要
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社会的厚生関数を可処分国民所得および森林が年々供給する公益的機能の貨幣価値換算額の二つの変数の関数として定義し,これを最大ならしめる林業部門に対する補助金の額を求めた。この補助金は,均衡財政を前提として,当該目的のための税によって賄うものとした。まず,各林分が供給する公益的機能に比例した補助金を支給した場合,生産者が選択する最適伐期はどのように変化するのか,またその結果,わが国の森林全体が年々供給する公益的機能がどの程度増加するかを考察した。次いで支給する補助金の総額とこの公益的機能の増加分との間の関係を求めた。最後に,この関係と,課税・補助金の可処分国民所得に対する乗数値とを用いて社会的厚生関数を最大化する課税額を求めた。考察の結果,全国の森林が供給する公益的機能を39兆円/年とした場合,最適な課税額は0.9〜2.6兆円/年程度(平成元年の国民所得のおよそ0.3〜0.8%程度)である,などの結論が得られた。
- 日本森林学会の論文
- 1996-11-16
著者
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