真正クモ類の群集構造 : マツ林における無せきつい動物の群集構造(II)
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概要
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BHC乳剤のヘリコプター散布により落下, 採集された標本をもとに, マツ林における真正クモ類の群集構造を調べた。調査は高知県入野海岸のクロマツ純林と, 足摺岬におけるクロマツ, 広葉樹混交林とにおいて行なった。散布4日後までに落下採集されたサンプルは, その地点の真正クモ類の群集構造を, 質量ともに示していると考えられた。全体で14科32種採集されたが, 中でもアシナガサラグモ, ヘリジロオニグモ, ハエトリグモ科1,ハエトリグモ科2,ヤハズフクログモ等の個体数が多かった。全体的にみて地表面1m^2を単位としてみると, 真正クモ類は各調査地域でランダムに分布しているとみなされる場合が多かった。しかしアサヒエビグモ, アシナガサラグモ, ハエトリグモ科2,セスジアカムネグモ, ヤハズフクログモ, ヘリジロオニグモ等は, 地点間で個体数の差があり, 多少分布にかたよりがあるようである。徘徊性と造網性のものを比較すると, 全体の80%が造網性のものであった。林分内では全体として各種が重なり合って分布していることがわかったが, アシナガサラグモとセスジアカムネグモ, アサヒエビグモ, ハエトリグモ科2,ヤハズフクマグモ等の間, またキンイロエビグモとアサヒエビグモの間では重なり合いはないようであった。ともずみ, すみ分け関係をみると, コケヒメグモとキンイロエビグモの間にはともずみ関係がある可能性があり, アサヒエビグモとアシナガサラグモ, アサヒエビグモとキンイロエビグモ, ハエトリグモ科2とアシナガサラグモ等の間ではすみ分けがみられた。種構成の類似度は, 林分間のバラツキが林分内のバラツキより大きく, 同一林分ではどこでもほぼ同様な種構成であることがわかった。しかし同一林分内でも, 種間関係が闘争的であるアシナガサラグモの多い部分では, これを欠く部分と種構成がいくぶんちがっていた。
- 日本森林学会の論文
- 1974-03-25
著者
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