キカイガラタケ属の腐朽菌によるアカマツ材の腐朽と含水率ならびに空気湿度との関係

概要

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コゲイロカイガラタケ, キチリメンタケ, ヒロハノキカイガラタケおよびキカイガラタケの4種の腐朽菌によるアカマツ材の腐朽と材の含水率ならびに空気湿度との関係を実験した。これらの菌の侵害可能な含水率の範囲は, かなり広く, 10〜20%から250%におよんだ。しかして腐朽の最適含水率は菌の種類によって多少異なり, コゲイロカイガラタケおよびキチリメンタケでは105〜115%, ヒロハノキカイガラタケおよびキカイガラタケでは115〜135%であった。木材は吸湿性の物質であるからして, 乾燥材は湿潤な空気中より湿気を吸収して, その含水率を増高するが, 本実験の結果では, 空気湿度80%以上の場合に材片の吸湿が顕著となり, 湿度の増高とともに腐朽率も増大した。しかして空気湿度が71%の場合にも腐朽は認められたが, その程度はきわめて軽微であり, 湿度51%では90日後も材片の含水率にほとんど変化がなく, 菌の侵害は全く認められなかった。これらの結果から, 供試4菌の侵害が起こる危険点は空気湿度80%, 材の含水率15%とみなすことができる。
一般社団法人日本森林学会の論文
1964-01-25